転職活動に対するコロナウイルスの影響
2020年、突然訪れた新型コロナウイルスの影響により、企業の採用活動や従業員の転職活動は大きく変わってきています。倒産する企業も多くなってきているため、今働いている環境によっては「転職して違う業界にチャレンジしたい」と考えている方も多いでしょう。では、このコロナ禍の中、自分の希望通りの転職を成功させるためにはどのようにしたらいいのでしょうか?今回はWithコロナの中の転職活動について考えていきたいと思います。
コロナの影響で変わった転職活動の事例
では実際に、コロナの影響でどのような点が転職活動において変わったのでしょうか?具体的な事例を元に考えていきましょう。
企業が出す求人数
コロナウイルスの影響で売上に大きなダメージがあったり、これからの企業の方針を大きく変えないといけなくなったという企業は数多くあります。すぐに企業の体制を変えることはできないので、コロナウイルスの発生から1年たった今でも、企業はさまざまな試行錯誤を繰り返しています。そのため、出していた求人を取りやめたり、募集人数を減らしたりする企業も増えています。もちろん中にはコロナウイルスの影響により業務が忙しくなり、求人数を増やした企業もあります。しかし、やはり求人の倍率は全体的に上がっていると見ることができるでしょう。そのため、転職希望者の方が有利な時期はもう終わり、また就職氷河期と呼ばれる時代に突入していく可能性もあります。
我々転職エージェントにおいては、厚生労働省が出している有効求人倍率というデータを用いて会話することが多いです。ハローワークの登録者1人あたりに何枚の求人があるか?というデータですが、2021年3月は1.10倍となっています。参考として以下の数字を見てみましょう。
・コロナウイルスが流行する前の2020年1月→1.51倍
・リーマンショック直後の2009年8月→0.42倍
これらの数字を見ますと
・景気が悪い時は著しく求人が減る(+転職希望者が著しく増える)
・今現在、景気のピークは終了していて下り坂に突入している
ということが読み取れるかと思います。少しキャリアを変えたい、転職を少しでも考えているという方は少しでも早く、求人があるうちに転職活動を進められることを強くお勧めします。
一般職業紹介状況(令和3年3月分及び令和2年度分)について | 厚生労働省
求められる人材像
コロナウイルスの影響により、採用の際に求められる人材も大きく変わりました。これまでは転職希望者の方が有利な状態でしたが、採用倍率が上がったことにより、今後は即戦力になるより高いスキルや人としての魅力、企業への情熱が採用時に試されることになります。そのため、自分の魅力をしっかりと伝えることができなければ、なかなか内定を獲得することが難しいかもしれません。また、コロナウイルスの影響によってリモートワークが推進されているので、1人で自分をしっかりとマネジメントし、行った業務や実績を簡潔に伝えることができる人材がより有利になるといえます。そのような能力をつけてアピールすることができれば、転職を有利に運ぶことができるでしょう。
面接の形態
これまでは実際に企業に足を運んで行われていた面接ですが、今はオンラインで行う企業も増えています。オンラインになると、対面よりその人の魅力が伝わりづらくなってしまうので、オンラインならではの工夫が必要になります。例えば、部屋を明るくしたりよりクリアに音声が届くように事前に準備をしておくことは相手への気遣いにもなるので、できていない人よりも有利にはたらくでしょう。これまでやらなくてよかったことも当たり前にやらないといけない時代が到来していると言うことができます。
コロナ禍の転職でやるべきこと
では、コロナ禍の転職活動ではどのようなことを意識して行えばよいのでしょうか?ぜひ意識しておいてもらいたいポイントについてご紹介していきます。
転職理由と志望動機の明確化
コロナ禍の転職活動では、「どうして転職したいのか」「どうしてこの企業に応募したのか」という内容をより明確化する必要があります。コロナの影響により、何となく不安だから転職するという人が増えているので、その中でより具体的に自分が転職したい理由とその企業で働きたい理由を話せる方は印象を残すことができます。面接の際に急に聞かれて具体的な事例を答えるのは難しいと思いますので、事前に準備しておくことをおすすめします。その際には、「コロナ禍だから」という理由を述べるのは避けて、今後の自分のビジョンを織り交ぜて話すと、より説得力が出るでしょう。
自分の強みをアピール
コロナ禍では、より即戦力になる魅力的な人材が求められます。そのため、まずは自分がその企業に就職した場合に強みになる部分を明確にし、具体的にアピールできるように準備しておくといいでしょう。実際に「自分がその企業に入った際はこのように働きたい」というイメージの話をすると、本当に入社したいと思っている意欲的な方だと採用担当の方に思ってもらえる可能性が高くなります。
まとめ
いかがでしたか?コロナ禍では転職は難しいという声もあります。しかし、採用の数は減っているものの、しっかりと転職活動中に自分の魅力や転職の動機をアピールすることができれば、魅力的だと思い内定をもらえることも増えると思います。「厳しいから」と諦めてしまわずに、まずはチャレンジしてみるという気持ちで転職活動に挑んでみるといいでしょう。これだけ世の中が不安定な時だからこそ、思いきって行動をしてみることをおすすめします。
転職エージェントの裏側
今回は転職エージェントの裏側、というタイトルでエージェント経験者しか分からない実情をお届けします。
私は業界でもトップクラスの規模のエージェントに在籍をしておりましたので、その経験からお伝えできればと思います。
・転職エージェントは求人のプロだ!
・転職エージェントから中々連絡来ないなあ。
と思っている人は残念ながら転職リテラシーは低めです。転職エージェントの裏側、仕事内容を理解して頂き、上手く活用する一助となれば幸いです。
1.求人に詳しい!?
転職エージェントには2つの種類があります。
a.両面型エージェント
転職活動をしている個人をサポートする担当と、中途採用をしている企業をサポートする担当が同じエージェントのこと。個別企業の情報を深く知ることができると言うメリットがある一方で、窓口が多いことや、同じ業界の中でもA社は担当しているがB社はしていないということがあり、恣意的な担当者もいることなどがデメリットとして挙げられる。
JACリクルートメントが大手であり、人手の足りない中小エージェントなどはこのスタイルをとっています。
b.分業型エージェント
転職活動をしている個人をサポートする担当と、中途採用をしている法人をサポートする担当が別であるエージェントとのこと。1人の担当から紹介してもらえる求人が幅が広いというメリットがある一方で、個別企業の情報は薄いことが多い点がデメリットとして挙げられる。
マンパワーを確保している大手のエージェントは基本的にこのスタイルであり、リクルートエージェントやDODA、マイナビエージェントなどが存在しています。
上記の説明を読んでいただいてお分かりかと思いますが、転職活動をされるほとんどの方が、大手のエージェント、つまりはリクルートエージェントやDODAを使用されることが多いと思います。
これらのエージェントを使用する際に登録者が会話するのはキャリアアドバイザーという個人を専門としている担当であります。また、紹介をする求人は非常に膨大な量の中から紹介をしていきますし、キャリアアドバイザーが企業を訪問することはほとんどありません。そのため残念ながら1社1社の社風であるとか、年収条件、募集ポジションの年齢構成など、企業のことはほとんど全く把握していないと考えていただいた方が良いです。
2.転職エージェントは忙しい!?
大手の転職エージェント(主に個人を担当するキャリアアドバイザー)が週ににどのくらいの回数の転職相談を行い、常時どのぐらいの方々の転職活動をサポートしているのか、ご存知でしょうか?
高年収帯を扱うような専門の部隊は少し様相が異なりますが、基本的には以下のようなイメージです。
- 週の面談件数 ー 10件(1件30分〜2時間)
- 担当数 ー 100〜150名
- 転職活動中の担当 ー 30〜60名
土日などは1日の面談件数が5〜6件を超えるようなケースもあり、1日の後半には始めの方で面談した人の名前すら出てこないというような事もざらにあります。
そのため一人ひとりの担当者が求める望ましいタイミングでコンタクトを取り続けることなどは物理的に不可能でありますので、不可能であるということを前提にエージェントと接しながら、情報が欲しいときは主体的にエージェントに情報取得を働きかけていくことが望ましいです。
3.インセンティブがあるの!?
結論から言うとほとんどありません(笑)
業界の中では、JACリクルートメントや中小エージェントはインセンティブの比率が非常に高いです(そのため営業もがつがつです)。
ですが、リクルートエージェントやDODAのような大手エージェントに関しては、インセンティブはほとんどありません。
私もたまに担当しているお客様から「インセンティブあるんじゃないですか?」と聞かれることがありましたが、質問する意図も分からなければ、先入観だけで聞いてきておりますので、大変不愉快でありました。
ほとんどない、といいたすのは、私のいた会社は、転職を成功させた人数を営業目標として追いかけており、目標を達成したあかつきには、年間10〜20万がonされるような仕組みでした。
私が退職をしたときの年収は700〜750万円でしたので、たった数十万ぽっちをインセンティブというには憚られますので、「ほとんどない」という言い方をしております。
以上、エージェントの裏側をお話しいたしましたが、もし気になるようなトピックスがあればお気軽にコメントまでお知らせください。
【最新版】自己紹介
はじめまして。ゴウマンと申します。
▪️以下のような方へ向けてのブログです
・転職活動が初めての方
・面接対策のノウハウを知りたい方
・転職エージェントの裏側を知りたい方 など
▪️簡単な自己紹介です
MARCH卒
→大手転職エージェントでキャリアアドバイザー
→GAFAで法人営業
▪️ブログを始めた背景
転職エージェントとして年間300名、のべ1000名以上の方の転職サポートを行なってまいりました。
また、ココナラというサービスで、キャリア形成に関するアドバイスを日々しております。
転職エージェントが転職の相談に乗ります ~転職活動の進め方、志望動機・志望理由の作り方など~
転職活動というのは情報戦です。
ですが、中々情報が得づらく、転職エージェントもビジネスの構造上、本当の味方とは言い切れません。
そのような中、自身の転職経験や転職エージェントで培ったノウハウを多くの方へ伝えることができないか、という思いでブログを始めました。
エージェントにとっては常識ですが、一般の人では中々知りづらい情報などを発信していければと思います。
目次
転職における市場価値とは
転職における市場価値とは
転職エージェントをしている中で、よくある質問の1つに「自分の市場価値がどのくらいか?」というものがあります。
質問の背景を紐解いていくと、様々な思いからこの質問が出てきていることが分かります。
・自分の貰っている年収は、同じスキルを持った人と比べて適正かどうか?
・自分であればもっと年収を上げれるのではないか?
・自分のスキルを必要としてくれる企業があるか?
質問者が、このようにブレイクダウンがしっかりとできているケースは残念ながら多くありません。
ほとんどの方が【市場価値】と言うビッグワードにとらわれて、その言葉が自分にとって何を意味するのか?そもそも市場価値とは何か?と言うことにまで思索が至っていないです。(大体は年収を上げたいという方がこの言葉を使いますが。。)
このような質問をしてくる方には、以下の2つの視点が欠如しているケースがほとんどです。
1.市場価値はスキルだけで測ることができない。
2.年収は仕事の内容では決まらない。
それぞれ、どういう事かを説明します。
1.市場価値はスキルだけで測ることができない。
よく陥りがちな考え方として「希少価値の高いスキルを身につけていけば転職しやすいのでは?」という考え方がありますが、これは大きな間違いです。
当たり前の話ではありますが転職をしたい人と採用したい人の双方の合意があって初めて転職が実現します。とても希少性の高いスキルを持っていたとしてもそのスキルを生かすことができる企業が中途採用をしていなければ、残念ながら転職をすることができません。
行きたい企業が新卒文化の根強い企業で中途採用をあまりやっていないと言うケースもあれば、中途採用はやっているものの業績の悪化により採用にかける予算を絞っていると言うようなケースもあります。
また、運良くスキルを活かせる企業が採用していたとしても、採用をしている部署の年齢層がたまたま自分と同世代の年齢が手厚い、と言うようなケースの場合は年齢だけでお見送りになってしまうようなケースもあります。
このように転職と言うのはスキルはもちろん、それ以外の複数の要素が絡み合って、転職できる/できないというのが決まってきます。
では端的に市場価値とは何か?を示すとすると、
【スキル×年齢×景気】と言い表すことができると考えています。
転職においてスキルが全くないと言うのは論外ですが、スキルがあったとしても転職に有利な年齢や景気のタイミングを見極めて転職をしない限りは、転職は成功しません。逆を言うとスキルはそこそこであったとしても転職しやすい年齢や景気のタイミングで転職を仕掛けていけば、新卒では入ることができなかったような規模の企業や年収が非常に高いオファーを得ることも可能です。
2.年収は仕事の内容では決まらない。
成果を出せば年収は上がっていく、と言うのは正解でもあり不正解でもある考え方です。
高いアウトプットを出せばその分社内でも評価をされて昇進をして年収も上がっていく。と言う意味では正解とも言えますが、同じような仕事内容であってもAさんとBさんの年収が全く異なると言うケースが往々にしてあります。では仕事内容のほかに年収を決める大きなファクターは何か?といいますとあります。では仕事内容のほかに年収を決める大きなファクターは何か?といいますと、それは【業界】です。
同じ職種であっても利益率の高い業界であればあるほど年収は高くなります。一方で利益率の低い業界ですと、どれだけ成果を上げて昇進をしていたとしても低水準な年収にとどまってしまうケースが多いです。
例えばですが金融業界や化学業界、製薬業界などは利益率の非常に高い企業であり、業界構造上、競合の参入障壁も高く、安定して利益を上げることができるような企業が多いです。
一方でアパレルメーカーや食品メーカーなどの小売業界は、一般消費者に近い分、価格競争が非常に激しい業界であり、そのため利益率も低く年収が非常に低い業界です。
ここまでのお話で、ご自身の市場価値がスキルであったり仕事内容には依存せず、より良いタイミングでの転職であったり、どういった業界にポジショニングを置くか?と言うような戦略的なアクションに依存することが多いと言うことを理解いただけたと思います。
年収を上げるために自分の市場価値を知ると言うような考え方は非常にナンセンスなので、そうではなく、如何にうまく転職によって最適なポジショニングをしていくかって言うことを考えていきましょう。
転職エージェントはどんなサービスか?
今回は転職エージェントのサービスについてです。
転職活動が初めての方にとってあまり馴染みのないサービスかと思いますので、よく頂く質問に沿って、Q&A形式でご説明をしていきたいと思います。
・そもそもどういうサービスなの?
転職をしたい方と、採用したい企業の間に立って、それぞれのご支援をするようなサービスになっています。
転職をしたい方にとっては、エージェント経由の案件に応募すると、企業と直接やりとりをするシーンは面接と内定後のみになります。それ以外の全てのプロセス(応募後の日程調整、面接前後の質問回収など)でエージェントが間に入り調整事を進めていきます。
どのような人が転職エージェントに向いてる?向いてない?
・転職活動自体が初めてで進め方がよくわからない
・面接の過去質問情報を入手するなど転職活動を有利に進めたい
と言う方にお勧めです。転職活動全体のスケジュールであったり、フェーズごとにおける注意点などなかなか相談しづらいことを聞けるパートナーのような存在になりえます。また、多くの転職支援実績があるエージェントについては、面接官の情報や過去の質問情報、ライバルの情報など活動を有利に進めていくために大切な情報を多く持っています。
逆に、自分のペースで転職活動を進めたい、他人からの押しに弱い、担当のエージェントが合わない(これは運の問題です)と言うケースはエージェントの使用はしない方が良いかもしれません。
また、転職エージェントは経験を生かした転職に向いており、キャリアチェンジになるような転職は向いておりません。
企業は転職エージェントに対して成功報酬型で年収の30%前後と言う高い報酬を支払うため、即戦力になるような人材を紹介してほしいと言う期待が非常に強いです。そのため学歴や高い英語力などキャリアチェンジの武器になるようなものを持っている方でないと、転職エージェントが企業に書類を送らないと言う判断になるケースが多いです。
色々なサービスがあるけど、どう違うの?
例えばですがリクルートの提供しているサービスでも、リクルートエージェントとリクナビネクストとと言う2つのサービスが存在します。前者は「転職エージェント」であり、後者は「転職サイト」ですが、これらは全く別のサービスなのでご注意ください。非常にわかりづらいですが、それぞれについてご説明致します。
(1)転職エージェント
上で述べたように、転職エージェントから応募すると企業と直接やりとりをするのは面接と内定後の入社手続きのみであり、その他すべてのやりとりはエージェントを介して行っていきます。
エージェントに登録するとまずは面談と言う形で転職を考えている背景や求人に対する希望を聞かれます。一方で、転職がはじめての方の場合は転職市場の動向であったり個別求人の情報など積極的に質問することで、転職にまつわる様々な情報を取得することができます。
日本の企業は転職エージェントを使用した中途採用がメジャーですので、エージェントが持っている求人は非常に豊富です。わざわざ面談をしなければならない煩わしさはありますが、数多くの求人にアプローチできると言う意味では網羅的に効率的に転職活動を進めることができるともいえます。
<代表的なサービス例>
リクルートエージェント、dodaエージェント、マイナビエージェント、JACリクルートメント、メイテックネクスト、Quickなど
(2)転職サイト
転職エージェントほど求人は多くは無いですが、企業が中途採用活動を行う上でメジャーなツールの1つです。新卒の就活の際にリクナビやマイナビをご利用いただいたかと思いますが、それらの転職者バージョンと理解いただければと思います。
企業は、広告という形でサイト上に求人を載せます。企業と個人の間には誰かが介在する事はなく直接やりとりを進めていくような形です。
企業からするとエージェントと比較した際に採用にかかるコストが圧倒的に低いため、エージェントと比べて採用のハードルが低いケースが多いです。そのため、転職として難易度の非常に高いキャリアチェンジであったり、一般事務としての転職などは転職サイトで活動をした方が成功可能性はぐっと上がります。
一方でエージェントサービスのように書類作成のアドバイスをもらったり面接対策のアドバイスをもらったりはできませんので、多少転職活動に慣れている方向けのサービスと言えるかもしれません。
一方でエージェントサービスのように書類作成のアドバイスをもらったり面接対策のアドバイスをもらったりはできませんので、多少転職活動に慣れている方向けのサービスと言えるかもしれません。
<代表的なサービス例>
転職理由の上手い話し方
結論から始めます。
転職活動における「良い転職理由」とは、以下の内容から構成されます。
①ネガティブ理由を簡潔に
②努力をしたが改善されず
③転職活動における軸とは
例えば以下のような内容です。
現在の[在籍企業名]の業績があまり芳しくないことが転職を考えるきっかけとなりました。赤字の商流の見直しであったり、出来る範囲で上司に提案もしたのですが、社内で現状に危機感を持っている者が少ない状況です。不安が少なく、職責に集中できるような環境が自身のモチベーションにも繋がると思いますので、転職活動をしております。
転職エージェントをしていると「転職理由を面接でどう話せばいいでしょうか…」というご相談を受けます。そして、かなりの確率で以下のようにお話されます。
「本当の理由は話さずに、ポジティブに話したほうがいいんですよね?」
この考え方ですが、大きな誤りです。
なぜ誤りなのかは、面接官の立場になって考えてみましょう。大概、転職を考える理由なんてネガティブなものです。そのような中で「スキルアップしたい!」「○○業界で働きたい!」といった前向きなことばかり話す人がいたとしましょう。
私が面接官であればこう思います。
この人、面接用に取り繕ってて信用できないな…。
少し話が変わりますが、面接官が転職理由を聞く理由は何でしょうか?
最終的な目的は「入社後に辞めることなく長期的に活躍をしてほしい」ということですが、面接では「その転職理由は、うちの会社に入って解消できるのか?」という観点で判断します。
つまり、面接を受ける側としては、面接官に「なるほど、そういうことか。それなら弊社を受けている理由も納得できるな」と思わせれば勝ちです。そのようなゴールがある中で、ポジティブな理由ばかり話していては残念ながら納得感がありません。
前置きが長くなりましたが、以上を前提に、ポイントをそれぞれ説明していきます。
①ネガティブ理由を簡潔に語る
・残業時間が月50時間は当たり前のような環境で…
・社内でも問題の上司がおり、4人立て続けて退職者が出ていまして…
・自社の業績が悪い状況が続いており…
意外に思うかもしれませんが、これは全て面接で話して頂いてもOKです。面接官の納得感を勝ち得るという観点では、本当の転職理由はなるべく正直ベースで話しましょう。
ここでのポイントは事実情報を簡潔に話すことです。
事実情報とは、言い換えると、客観的な情報(=ファクト)のことです。転職理由において、ご自身の主観を加えすぎてしまうと「この人は文句言いだ」「現職批判をする傾向があるな」と思われてしまうリスクがあるためです。
また、あまりにもダラダラ話してしまうと「後ろ向きな人だな…」と思われてしまいますので、事実を・簡潔に話すことを心がけましょう。
②努力をしたが改善されず
こちらから転職理由を話した後、
・何か変えようと努力はしましたか?
・社内での異動願いなどは出したのですか? etc
といった質問が面接官から返ってくることがあります。これは、面接官として「何か起こったらすぐにやめてしまう人なんじゃないのか?」という疑念が浮かんでいる証拠です。
ですので、先んじて改善を試みたのですが…という内容を加えておきましょう。
上記のような疑念を払拭する役割も持っていますが、内容によっては自身の【主体性】や【向上心】をアピールすることができます。
③転職活動における軸とは
軸とは、企業選びをする際のポイントのことです。転職理由の〆として、自身がどういった環境での就業を望んでいるのかを簡単に付け加えましょう。
どういった環境であればモチベーション高く働くことができるのか?
どういった企業であればイキイキ仕事ができるか?
といったポジティブな内容にしてくださいね。基本的には転職理由の裏返しになると思います。
・在籍企業の業績悪化→安定感のあるor成長している企業
・残業時間が多い→残業はほどほど、長期就業が見込める環境
・事業撤退→自分のスキルを活かすことができる
しかしながら、時には転職理由の裏返しにしづらい内容もあると思います。例えばですが、上司のパワハラが原因で転職を考えているときなど。このような場合は、単純に転職活動をしている中でどういった企業・業界に魅力を感じているのか?といった内容を付け加えましょう。
転職活動の軸を付け加える意図についてお話しします。
納得感を持たせるために本音(ネガティブな内容)を話すことが好ましいですが、ネガティブな話で終始してしまうと、面接官に「後ろ向きな性格の人だな」と捉えられてしまうリスクが付きまといます。
そのリスクを最大限払拭するために、〆はポジティブな内容で終わらせることが好ましいです。
転職を考えた理由(=ネガティブ)はあくまでもきっかけであって、改めて自分自身のキャリア人生を考え直した際に、○○のような環境であれば自分がイキイキ働くことができると思いました!!
というような話し方をすることで、「この人は真面目にキャリアについて考える人なんだな」と面接官に思わせる。という副次的な効果もあります。
改めてになりますが、以下3つのポイントを抑えた転職理由、いかがでしょうか。
①ネガティブ理由を簡潔に
②努力をしたが改善されず
③転職活動における軸とは