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転職における市場価値とは

 

転職における市場価値とは

転職エージェントをしている中で、よくある質問の1つに「自分の市場価値がどのくらいか?」というものがあります。

 

質問の背景を紐解いていくと、様々な思いからこの質問が出てきていることが分かります。

・自分の貰っている年収は、同じスキルを持った人と比べて適正かどうか?

・自分であればもっと年収を上げれるのではないか?

・自分のスキルを必要としてくれる企業があるか?


質問者が、このようにブレイクダウンがしっかりとできているケースは残念ながら多くありません。

 

ほとんどの方が【市場価値】と言うビッグワードにとらわれて、その言葉が自分にとって何を意味するのか?そもそも市場価値とは何か?と言うことにまで思索が至っていないです。(大体は年収を上げたいという方がこの言葉を使いますが。。)

 

このような質問をしてくる方には、以下の2つの視点が欠如しているケースがほとんどです。

 

1.市場価値はスキルだけで測ることができない。

2.年収は仕事の内容では決まらない。

 

 

それぞれ、どういう事かを説明します。

 

1.市場価値はスキルだけで測ることができない。

 

よく陥りがちな考え方として「希少価値の高いスキルを身につけていけば転職しやすいのでは?」という考え方がありますが、これは大きな間違いです。

 

当たり前の話ではありますが転職をしたい人と採用したい人の双方の合意があって初めて転職が実現します。とても希少性の高いスキルを持っていたとしてもそのスキルを生かすことができる企業が中途採用をしていなければ、残念ながら転職をすることができません。

行きたい企業が新卒文化の根強い企業で中途採用をあまりやっていないと言うケースもあれば、中途採用はやっているものの業績の悪化により採用にかける予算を絞っていると言うようなケースもあります。

また、運良くスキルを活かせる企業が採用していたとしても、採用をしている部署の年齢層がたまたま自分と同世代の年齢が手厚い、と言うようなケースの場合は年齢だけでお見送りになってしまうようなケースもあります。

 

このように転職と言うのはスキルはもちろん、それ以外の複数の要素が絡み合って、転職できる/できないというのが決まってきます。

 

では端的に市場価値とは何か?を示すとすると、

【スキル×年齢×景気】と言い表すことができると考えています。

 

転職においてスキルが全くないと言うのは論外ですが、スキルがあったとしても転職に有利な年齢や景気のタイミングを見極めて転職をしない限りは、転職は成功しません。逆を言うとスキルはそこそこであったとしても転職しやすい年齢や景気のタイミングで転職を仕掛けていけば、新卒では入ることができなかったような規模の企業や年収が非常に高いオファーを得ることも可能です。

 

 

2.年収は仕事の内容では決まらない。

 

成果を出せば年収は上がっていく、と言うのは正解でもあり不正解でもある考え方です。

 

高いアウトプットを出せばその分社内でも評価をされて昇進をして年収も上がっていく。と言う意味では正解とも言えますが、同じような仕事内容であってもAさんとBさんの年収が全く異なると言うケースが往々にしてあります。では仕事内容のほかに年収を決める大きなファクターは何か?といいますとあります。では仕事内容のほかに年収を決める大きなファクターは何か?といいますと、それは【業界】です。


同じ職種であっても利益率の高い業界であればあるほど年収は高くなります。一方で利益率の低い業界ですと、どれだけ成果を上げて昇進をしていたとしても低水準な年収にとどまってしまうケースが多いです。

 

例えばですが金融業界や化学業界、製薬業界などは利益率の非常に高い企業であり、業界構造上、競合の参入障壁も高く、安定して利益を上げることができるような企業が多いです。

一方でアパレルメーカーや食品メーカーなどの小売業界は、一般消費者に近い分、価格競争が非常に激しい業界であり、そのため利益率も低く年収が非常に低い業界です。

 

ここまでのお話で、ご自身の市場価値がスキルであったり仕事内容には依存せず、より良いタイミングでの転職であったり、どういった業界にポジショニングを置くか?と言うような戦略的なアクションに依存することが多いと言うことを理解いただけたと思います。

 

年収を上げるために自分の市場価値を知ると言うような考え方は非常にナンセンスなので、そうではなく、如何にうまく転職によって最適なポジショニングをしていくかって言うことを考えていきましょう。