転職理由の上手い話し方
結論から始めます。
転職活動における「良い転職理由」とは、以下の内容から構成されます。
①ネガティブ理由を簡潔に
②努力をしたが改善されず
③転職活動における軸とは
例えば以下のような内容です。
現在の[在籍企業名]の業績があまり芳しくないことが転職を考えるきっかけとなりました。赤字の商流の見直しであったり、出来る範囲で上司に提案もしたのですが、社内で現状に危機感を持っている者が少ない状況です。不安が少なく、職責に集中できるような環境が自身のモチベーションにも繋がると思いますので、転職活動をしております。
転職エージェントをしていると「転職理由を面接でどう話せばいいでしょうか…」というご相談を受けます。そして、かなりの確率で以下のようにお話されます。
「本当の理由は話さずに、ポジティブに話したほうがいいんですよね?」
この考え方ですが、大きな誤りです。
なぜ誤りなのかは、面接官の立場になって考えてみましょう。大概、転職を考える理由なんてネガティブなものです。そのような中で「スキルアップしたい!」「○○業界で働きたい!」といった前向きなことばかり話す人がいたとしましょう。
私が面接官であればこう思います。
この人、面接用に取り繕ってて信用できないな…。
少し話が変わりますが、面接官が転職理由を聞く理由は何でしょうか?
最終的な目的は「入社後に辞めることなく長期的に活躍をしてほしい」ということですが、面接では「その転職理由は、うちの会社に入って解消できるのか?」という観点で判断します。
つまり、面接を受ける側としては、面接官に「なるほど、そういうことか。それなら弊社を受けている理由も納得できるな」と思わせれば勝ちです。そのようなゴールがある中で、ポジティブな理由ばかり話していては残念ながら納得感がありません。
前置きが長くなりましたが、以上を前提に、ポイントをそれぞれ説明していきます。
①ネガティブ理由を簡潔に語る
・残業時間が月50時間は当たり前のような環境で…
・社内でも問題の上司がおり、4人立て続けて退職者が出ていまして…
・自社の業績が悪い状況が続いており…
意外に思うかもしれませんが、これは全て面接で話して頂いてもOKです。面接官の納得感を勝ち得るという観点では、本当の転職理由はなるべく正直ベースで話しましょう。
ここでのポイントは事実情報を簡潔に話すことです。
事実情報とは、言い換えると、客観的な情報(=ファクト)のことです。転職理由において、ご自身の主観を加えすぎてしまうと「この人は文句言いだ」「現職批判をする傾向があるな」と思われてしまうリスクがあるためです。
また、あまりにもダラダラ話してしまうと「後ろ向きな人だな…」と思われてしまいますので、事実を・簡潔に話すことを心がけましょう。
②努力をしたが改善されず
こちらから転職理由を話した後、
・何か変えようと努力はしましたか?
・社内での異動願いなどは出したのですか? etc
といった質問が面接官から返ってくることがあります。これは、面接官として「何か起こったらすぐにやめてしまう人なんじゃないのか?」という疑念が浮かんでいる証拠です。
ですので、先んじて改善を試みたのですが…という内容を加えておきましょう。
上記のような疑念を払拭する役割も持っていますが、内容によっては自身の【主体性】や【向上心】をアピールすることができます。
③転職活動における軸とは
軸とは、企業選びをする際のポイントのことです。転職理由の〆として、自身がどういった環境での就業を望んでいるのかを簡単に付け加えましょう。
どういった環境であればモチベーション高く働くことができるのか?
どういった企業であればイキイキ仕事ができるか?
といったポジティブな内容にしてくださいね。基本的には転職理由の裏返しになると思います。
・在籍企業の業績悪化→安定感のあるor成長している企業
・残業時間が多い→残業はほどほど、長期就業が見込める環境
・事業撤退→自分のスキルを活かすことができる
しかしながら、時には転職理由の裏返しにしづらい内容もあると思います。例えばですが、上司のパワハラが原因で転職を考えているときなど。このような場合は、単純に転職活動をしている中でどういった企業・業界に魅力を感じているのか?といった内容を付け加えましょう。
転職活動の軸を付け加える意図についてお話しします。
納得感を持たせるために本音(ネガティブな内容)を話すことが好ましいですが、ネガティブな話で終始してしまうと、面接官に「後ろ向きな性格の人だな」と捉えられてしまうリスクが付きまといます。
そのリスクを最大限払拭するために、〆はポジティブな内容で終わらせることが好ましいです。
転職を考えた理由(=ネガティブ)はあくまでもきっかけであって、改めて自分自身のキャリア人生を考え直した際に、○○のような環境であれば自分がイキイキ働くことができると思いました!!
というような話し方をすることで、「この人は真面目にキャリアについて考える人なんだな」と面接官に思わせる。という副次的な効果もあります。
改めてになりますが、以下3つのポイントを抑えた転職理由、いかがでしょうか。
①ネガティブ理由を簡潔に
②努力をしたが改善されず
③転職活動における軸とは